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【自作カメラ】スリットシャッターカメラを、つくる【スリットスキャン】

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はじめに

私の趣味は写真を撮影すること。そして、写真の可能性の追求です。

Blogでのカメラ記事初っ端から大それた事を書いていますが、割と大真面目です。
最近ろくに写真を撮っていないので大口叩いていると怒られそうですが(笑)私にとって、写真を撮る目的の主体はそこにあると言っても過言ではありません。

試行錯誤の結果として、私にとっての写真は「時間の流れ」を映し出したいと思うようになりました。
このあたりは、書き出すと凄まじく長くなるので別途割愛しますが…その過程で生まれたのがスリットスキャンと呼ばれる手法でした。

そのため私は、今までスリットスキャンに関する作品を幾つか生み出してきました。参考1 参考2

 

その中で、私が最初にスリットスキャンに出会うきっかけになったのは、この自作シャッターカメラでした。

なかなか他の手法とくらべて活動頻度が低いカメラですし、今となっては阿呆な発想ながら破茶滅茶な内容だったりするのですが、自分の中でもお気に入りの一台となっていますので、紹介しようと思います!

 

スリットスキャン

スリットスキャンとは

スリットスキャンは、映像から派生した技術です。

記録される映像に時間差を与えることで、一般的な同時に映し出される映像とは異なる時間の流れを表現する手法です。

最も有名なのは、映画[2001年宇宙の旅]でしょう。

細かい文面での説明は難しいので、上の動画を見ていただいた方が直感的にわかりやすいかと思います。

今ではCGを使えば簡単にできる映像かもしれませんが、アナログの手法はその方法を見るのも楽しいですよね。

 

高速シャッターとローリングシャッター

さて、そんなスリットスキャンですが、映像と異なりスチル(写真)では、あまり好まれる技術ではありません。

なぜなら、スリットスキャンは先に書いたように「時間差」を与える技術です。
一般的に、シャッターを切っている時間、同一の映像を記録したいスチルにおいて敬遠されるべき内容といえるでしょう。

銀塩時代カメラから、フォーカルプレーンシャッター機体において、高速シャッターで撮った写真が歪むということがあったそうです。(私は銀塩カメラで同症状をあまり見たことがないですが、実際にそういった事例はあります)
なぜなら、一般的に1/125以上のシャッタースピード(ストロボ同調スピード)以上のシャッタースピードの場合、先幕と後幕の間に時間差が生じ、スリット状の膜を動かすことで露光するためです。
シャッタースピードとシャッター幕の関係に関しては、こちらのyoutubeをご覧下さい。

 

デジタル時代になって、シャッタースピードが1/8000を超え、電子シャッターの登場によりローリングシャッターが顕著化することで、更に敬遠されるようになりました。

下の画像は、ソニーさんのホームページからの転載(参考3,参考4)で、電子シャッターにおけるローリングシャッター現象(歪み)の説明資料です。

一般的な高速シャッターも同様で、スリット状の膜が開いている間に通過した物体が、歪んで見えてしまうんですね。

 

デメリットにこそ、新しい表現がある

先にあげたサイトの説明にあるように、一般的に画像が歪むという症状は好まれるものではありませんし、それを改善するようにエンジニアの方々が日々技術開発を進められています。

しかしながら、、全てがきれいに写せる今の時代。それが本当の意味での「写真表現」なのでしょうか。

写真は、基本的にはカメラで撮影するという縛りがあります。そういった縛りがある中だからこそ、写真だからできる表現があるのではないか。私はそう考えています。

カメラを作成している最中に知りましたが、一般的にスリットスキャンを主軸とした表現とされている写真家は極めて少ない状態ですが、わずかに存在します。

Adam  Magyar氏やFrederic Fontenoy氏が有名でしょうか。

 

彼らがスリットスキャンに至った原因はわかりませんが、私は「時間の流れを撮る」ことを目的として写真撮影をしてきたこともあり、この手法は最も自分に適した技法だと思い、チャレンジすることにしました。

 

スリットシャッターカメラ

さて、ここからが本編になります。

製作過程および動作原理

といっても、かなり過去に作った+記録を残せておらず申し訳ないです。

※はじめての電子工作+自作機材ということもあり、各部酷い箇所ばかりですが…小学生の自由研究だと思って、生暖かい目で見て頂けると幸いです。かつ、以下もし参考にして作成される際は自己責任でお願いします。

ベースカメラはNEX-5N、ソフトウェアはArduinoのマイコン処理で動いております。

NEX-5Nは何度も分解しておりますが、非常に使いやすい機種ですのでオススメです。
5Nに限らず、NEX自体が分解動画が幾つか上がっている上に、基本構造が大差ないので非常に扱いやすいです。

NEX-5Nからセンサのみを抜き出し、その直前にシャッターを配置しています。
センサはカメラから無理矢理引っこ抜いています。センサ直前にシャッターを搭載するため、IRフィルターも抜き取っています。従ってこのカメラはフルスペクトルカメラとして使用することになります。

シャッターはガイドに沿って上下できるような構造になっており、側面にラックギアを取り付けています。モーターに取り付けられた(ミニ四駆から持ってきた)ギアがラックギアと連動し、上下動作を行います。

センサむき出しの状態…左手に見える緑色のギアは皆さんご存知のアレです。

 

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上の写真からは見えにくいのですが、上下端には終端位置を検知するためにマイクロスイッチが搭載されています。またカメラのシャッタースイッチには社外製の赤外線リモコンを使用しています。

それらを制御するのは、NEXと並んで御馴染みのArduino。

Arduinoは素晴らしいツールで、機材を創るまではいかなくとも、様々なPhotographer、写真家に使ってもらいたいですね。これのお陰で、写真の幅は大きく広がると思います。


ごちゃごちゃしていますが、バッテリー、リモコン、Arduinoが搭載されています。

 

ロマンの赤バックライト。

側面には、上からカメラの電源スイッチ、スキャンスピード調整甩のボリューム、マニュアル操作スイッチ、そして最後がArduino電源トグルスイッチになっています。

電源スイッチで、カメラが起動。
スキャンスピードの調整ボリュームで、スリットスキャンスピードを変更し、
マニュアル操作スイッチで、トグルスイッチを上下させることでシャッターを上下駆動できます。
Arduino電源トグルスイッチで、Arduino系統の電源が入る仕組みになっています。

なお、この画面上では見えませんが、Autoスイッチも存在しています。

①シャッターがセンサ前に移動し、センサを完全に遮光する
②カメラシャッター切る(30秒バルブ)
③シャッターがスキャンスピードの時間をかけて、上下する
④自動で原点位置までシャッターが戻る

というプログラムがされています。

 

実際の動作

動作はyoutubeにてご覧下さい。テスト中のモデルのため、完成形とは少し異なります。

 

作例と挙動について

冒頭で書きましたが、使用頻度が少ないため写真枚数が少ないです。個人的に気に入っている作品を載せておきます。


NEX-5N(slitshutter) + Ai AF Zoom-Nikkor 18-35mm f/3.5-4.5D IF-ED (only IR spectral)

 


NEX-5N(slitshutter) + Ai AF Zoom-Nikkor 18-35mm f/3.5-4.5D IF-ED (only IR spectral)

 

このスリットシャッターは、長時間露光中にスリット状のシャッターが上下に動くことでシャッターの代わりにしています。
そのためカメラ側のシャッタースピードは約20~30秒ほどの長秒露光とし、スリットの上下スピードで動きを表現させます。

とはいえ、スリットの動きを高速しても長秒露光であることに変わりないので、基本的に【長秒露光中の歪み】が発生します。つまり、歪みが生じる被写体は常に長時間露光中と同じような挙動になります。

これは別記事にあるスキャナカメラや、ソフトウェアの加工では難しいのでスリットシャッターの最大の特徴といえるかもしれません。

スキャナカメラについてはこちらを参照して下さい。


NEX-5N(slitshutter) + Ai 50mm f/1.8
 NEX-5N(slitshutter) + Ai 50mm f/1.8
NEX-5N(slitshutter) + Ai 50mm f/1.8

また、Exif情報もあくまでNEX-5Nと表示されるので、RAW提出を求められる場合にも役立つかもしれませんね。

私はそんな機会はないですが…撮って出しでの完成度を求める人にはオススメです。

 

まとめ

この自作シャッターカメラは、はじめて作った自作カメラということもあり、写真そのものよりも、写真や機材の考え方を一新する機会を与えてくれたカメラでした。(途中で並行してスキャナカメラも作っていましたが…)

元々【時間の流れ】をテーマとして、定点観察や同じ人や場所を繰り返し撮る行為をしていましたが、「一枚の写真」に複数の時間軸を入れ込むのは難しかったのです。

このカメラのおかげで、現状の【時間の流れ】を入れ込む写真を撮りだすことが出来た、といっても過言ではありません。

今のところスキャナカメラ等の使用頻度が高く、うまく使ってやれていない状態ですが、特徴をうまく活かしてやれば他の手法とは違う特徴を生みだすことも可能です。

また作品として撮れるようになった時は、しっかりと世に出していこうと思います。

 

 

余談

実はこの自作シャッターカメラ。幾つか作った中で、最終的に今の形になりました。

一番最初作ったものはレンズの前面にシャッターを置いていましたが、あえなく失敗(画像なし、撮っておけば良かった…)。

次に作ったものが、レンズとカメラの間にマウントアダプターとして設置する方法でした。

 

 

当初はマイコン制御を知らなかったので、まさかのプラネタリギアを使ってスピード調整をしていました(笑)

 

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世の中には色々なマウントアダプターが存在しますが、中にシャッターを組み込んだアダプターは世界でもこれぐらいじゃないでしょうか。
この手法は画期的だったのですが、回折の影響が非常に大きいため諦めました。フランジバックも大きく、ハッセルブラッドのレンズでやっと使える代物でした。

 

※本記事は、noteにも記載しております。

もし御声援いただけるのであれば、noteのサポートもよろしくお願いします!

 

関連

 

【自作レンズ】ターレット式マウントアダプターを、つくる。

 

 

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  • この記事を書いた人

toshio

旦那。 趣味は写真と工作。自作(改造)カメラ、IoT、電子工作、インテリア、家や暮らしが好き。

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